トランプ批判への違和感 その1(不法移民について)
アメリカに縁があるから、アメリカの話をけっこうするつもりでいる。
世界中の人間が、まさかあの男が当選するとは思っていなかったんだろう。
あの頃、私もアメリカにいて、そう思っていた。
でもあの11月、「トランプはあるな」と思った。そういう空気だった。
そして彼は当選した。
私も日本人だから、あの男を持ち上げるきはさらさらない。
ただアメリカの法律に乗っ取った選挙で、彼は選ばれたのだということを忘れてはいけないと思う。
いきなりの大統領令で、アメリカ国内も、国外も非難で揺れている。
アメリカ人の非難はまあいいよ。差別のないアメリカを目指す人たちがデモを起こすのもわかるよ。どんなアメリカにしたいかってのは、アメリカ人みんなが考えていいことだ。
でもさ。矛盾が多いんじゃないか?
順番に違和感のある部分をあげてく。
まずはこのニュースだ。
アメリカには不法移民が400万人ともそれ以上とも言われている。
彼らを強制送還させるかどうかについて、オバマ時代から物議が醸されている。で、強制送還させる派のトランプが支持を得たわけだ。
その上で、聖域都市なるサンフランシスコが提訴している。
これ、アメリカ人ならわかる感覚なのかもしれないが、日本人には到底理解できないと思うのだが、なぜ一緒になってトランプを批判している日本人がいるんだろうと思う。
だって、不法移民は不法な移民なんだよ。
移民局の目を逃れ、ときにはビザを偽造して、逃げ回っている、日本の感覚でいうと犯罪者だ。
戦争難民でもなんでもない。国連だってその立場を保障してない。
せっかくアメリカでがんばってきたのに、帰れはひどいと彼らはいう。
まあ、彼らの立場ならそう言うさ。それはまだわかる。言うしかない。
でもさ。
「不法移民を許せ」っていうのはどういう理屈だ?
不法移民を許したいなら、彼らにビザを発行して合法移民にしたらいい。
なぜ彼らにビザを発行しない?
なんならサンフランシスコ市が雇えばいい。
なぜしない?
たとえばアメリカで、大型ゴミを出したくなったとする。
アメリカってとこはUSEDの商品もけっこう高値で売れるから、ガレージセールで売ったり、中古ショップに持って行くのもありだね。寄付したものを売ってくれる組織もある。
でも面倒だったらさ。どうする?
「ゴミの日に外に出しときゃメキシコ人が持ってくよ」
って言われるんだよ。
フードコートで食べたものをきれいに片付ける、公園を汚さないようにする、そういう努力をしなければなんて言ったらさ
「そんなことしたら、メキシコ人の仕事がなくなっちゃうだろ」
って言われるわけさ。
最低時給が15ドルとか言われる昨今。汚くて面倒な仕事をやってくれるのは不法移民なわけ。足元見てるわけ。社会保障も医療保障も必要ない。本当に不法移民の人権を考えるなら、不法移民擁護ではなく、合法移民を増やす努力をするべきじゃない? で、サンフランシスコをはじめとする聖域のみなさんは、その覚悟があるのかい?
不法移民排除法案をあげつらって、差別だ差別だと言っている日本人もよくわからん。
日本の警察庁の文書にこういう記述がある。
http://www.moj.go.jp/content/001179642.pdf
>1 不法就労等事案の取締り等の強化 2 不法就労等外国人及び悪質なブローカー・雇用主等に関する緊密な情報交換 3 不法就労等防止に向けた広報,啓発及び指導の積極的実施
アメリカなんか比べ物ならんくらいの不法移民排除国家。
「もともとの国是がちがうだろ? アメリカは移民国家だろう?」という責め文句もおかしな話だよ。「明日から日本を見習って、移民国家やめます」って言えば終わりだもんよ。
一方で、不法移民を排出してる国々はどう考えてるの?ってこともある。
自分の国の若者がじゃかじゃかアメリカに行ってしまうことを損失だと思わないのかね。
自国の悪口を言われて腹がたつのはよくわかるが、不法移民をストップして強制送還してくれるのは、自国的にはありがたい話だと思うんだが、なぜ違うのか。
不法滞在者はアメリカで子をつくる。アメリカで生まれて子供はれっきとしたアメリカ人だ。アメリカの教育制度と社会保障の恩恵を受けて育つ。しかし彼らが自分たちのルーツを捨てることはない。アメリカ国内に自分たちの仲間を置いておくことは、諸外国にとってメリットでもあるわけだ。しかしそのメリットは合法ビザで享受すべきもので、不法移民を防ぐ努力をしないのは祖国側の怠慢、そうでなければ悪徳だろう。
不法移民排除を非難する正当な理由はない。
「同情するならビザをやれ」と私などは思う。
同情してるわけじゃないなら「てめーらの都合ばっかり押し付けてんじゃねぇぞ」共和党支持者が言うのも仕方ないと思う。